1つ前のメルマガで取りあげた
オバマ大統領の記事は、大きな反響がありました。

ですので、その記事をさらに深めて
お話していこうと思います。

まず、前回の復習ですが
アメリカ大統領選挙を舞台にして

「CHANGEという言葉で、
 シンプルに相手の感情に
 ストレートに訴え掛ける敏腕マーケッター」
 =オバマ氏=見せ方の上手い経営者

「自社の技術の優れている点のみを
 しきりに訴えてくる技術畑出身の経営者」
 =ヒラリー氏
 =良いサービスを提供しているのに売れない経営者

という分析を行いました。

今回は、【実践編】として
もう一度”見せ方”について復習していきます。

“見せ方”が集約されたものでちょうど良いのは
CMです。

CMには本当にたくさんの学びがあります。

なぜならば、CMの見せ方一つで
大企業の命運が決まってしまうこともあるからです。

特に携帯電話業界は
ソフトバンクの参入によって競争が激化しており
現在も熾烈な権力争いを繰り広げています。

また、現在の携帯電話はすでに成熟しており、
どの端末を選んでも大差ないのが実情であるため、
いかに良いイメージを消費者に与えるか
(=どういった、見せ方をするのか)が
より一層大事になってきています。

つまり、携帯電話会社のCMは見せ方の宝庫なんですね。

さて、ここで
携帯のシェアの歴史を振り返ってみましょう。

携帯電話のシェアの歴史を振り返ってみると
ずっとドコモの独壇場でした。
(ドコモは現在も圧倒的なシェアをほこっています)

2006年、そこにある出来事が起きます。

それは携帯電話の会社を変えても
番号をそのまま引き継げるサービス、
モバイルナンバーポータビリティ
(以下、MNPと表記)の登場です。

そのときに、auは仲間由紀恵さんを起用して、
つながりやすくてスタイリッシュな
携帯電話であることをアピールしました。

さらにリスモという
かわいいキャラクターを世に送り出すことで、
携帯電話で音楽を聴くという
新しいジャンルを切り開きました。

~~シンプルでわかりやすい説明~~

これは前回のメルマガでお伝えした
見せ方の極意です。

政治家としては実績があるヒラリー氏に対して、
CHANGEというシンプルでわかりやすいメッセージを
利用してオバマ氏は戦いを挑みました。

結果は、皆さんご承知のとおりです。

話を携帯電話に戻しましょう。

auはシンプルでわかりやすい説明
(つながりやすくて、おしゃれな端末をたくさん提供している)を
CMで繰り広げることで成功を収めました。

結果、2006年はauが帯電話の純増数首位になりました。

しかしながら、携帯電話の2008年6月の
契約純増数でauが前月の2位から4位に転落しました。

なぜでしょうか?

私は、これもまた”見せ方”と
大きくかかわっているのではないかと思います。

「auの庭で」

これは、現在のauのキャッチコピーです。

あなたはこの言葉を聞いて
何を思い浮かべるでしょうか?

ちょっとわかりにくいコンセプトですよね。

シンプルでわかりやすい説明で
売り上げを伸ばしてきたauだったのに
なぜかわかりづらい(イメージがわきにくい)路線に
シフトしてしまったため
顧客離れが進んでいったのではないかと
私は考えています。

一方、伸び悩んでいるauを尻目に
ライバルのソフトバンクは
家族内通話無料、タダ友、学割など
安さを前面に出した見せ方をしています。

冷静に比較してみると、
ドコモもソフトバンクもauも
それほど料金的に大差がないのですが、
ソフトバンクの方が安い気がしてしまうから
不思議ですよね。

なお、2008年9月時点で、
携帯電話の契約純増数一位はソフトバンクです。
(ちなみに、契約数はドコモが一位です)

歴史は繰り返すではないですが、
5歳児の子供でもわかるような
シンプルでわかりやすいCMを流している企業が
業界地図を塗り替えています。

あなたもぜひ、

「これだ!」という
 本当に伝えたいことのみに的を絞って
 かつシンプルに伝える!

ことで、業界を席捲してください。

(おまけ)

ソフトバンクはシンプルなメッセージに加えて、
親しみやすさを加えることで
その効果をぐっと引き立てています。

きっと、肌身離さずにもつ携帯電話だからこそ、
親しみやすさも重要な要因なのでしょう。

王道の技に一味加える、
これが最高の見せ方なのかもしれません。