私は歌を歌うことが大好きです。

歌というものは言葉と密接につながっており
歌の歴史や形態を見ることで
国民性や歴史観など
さまざまなことを垣間見ることができます。

日本の歌と西洋の歌を比較して考えてみましょう。

日本の歌というと
J-POPなどを連想するかもしれませんが
ここでは「和歌」を日本の歌とします。

和歌が日本の歌であるということに
疑問を感じる読者も多いかと思います。

実際に、和歌というと音楽の時間ではなく
国語の時間に文学として登場してきます。

なので、どうしても
「和歌=俳句のようなもの=文学作品」
ととらえてしまいがちですが、
和歌は「やまとうた」とも呼ばれ
音楽に言葉を乗せた立派な歌なのです。

また、複数人で同時に歌うことが多く、
いわゆる斉唱のようなスタイルで
歌われることが多かったようです。

それに対して、西洋の歌の代表として
「合唱」があります。

こちらはあなたにもお馴染みでしょう。

音楽の時間に
男子と女子がパートごとに別れて
歌ったりした経験があるのではないのでしょうか。

実は、これは西洋由来の歌の形式なんですね。

日本における和歌、そして西洋における合唱、
ともに音を合わせる行為であるのですが、
音の合わせ方に大きな違いがあるんです。

「どうやって音を合わせるか?」

これは、企業における「ビジョンの合わせ方」にも
通じるものがあると思います。

ここまで前振りすると
日本と西洋の音の合わせ方の違いが
気になりませんか(笑)?

引っ張るつもりはありませんので
さっそく答えにいきましょう。

日本における音の合わせ方と
西洋における音の合わせ方では
具体的にはどう違うのか…

合唱では、指揮者が前に立ち
すべての歌い手の指揮を執ります。

ここでは、指揮者の命令は絶対であり
皆が指揮者に従うことで一体感を作り出します。

また、男性のパート、女性のパートなど
声の質に合わせてパート分けをすることも
大きな特徴です。

これらのことは、
ベートーベンの第九などを想像していただくと
イメージしやすいかと思います。

それに対して
和歌ではだれか一人が歌い始めると
自然と周りがその音に合わせ始めます。

つまり、指揮者となる人はおらず
周りが最初に音を出した人に「合わせる」のです。

そして、
声の高い人・低い人、
男の人・女の人の声が混ざり合って
それぞれが自分の声の質を意識するわけでもなく、
またパート分けがなされているわけでもなく、
それらが一体となって一つの歌を奏でます。

この違いはとても面白いと思います。

リーダーが指揮を執って音を合わせる西洋に対して

周りの人に合わせることでリーダーがいなくても
自然と音が重なり合う日本。

このことは歌の世界にとどまらず、
組織構築やビジョン共有にも当てはまると思います。

西洋の歌である合唱では
だれか一人のリーダー(指揮者)を決めて
そのリーダーに周りが合わせるというスタイルを採ります。

それが今の
トップダウンの組織管理スタイルの礎になったのだと
私は思います。

それに対して、周りの人に合わせることで、
リーダーがいなくても
自然と音が重なり合う日本(あるいは日本人)には
トップダウンではなく、周りと強調することで
より大きな力を発揮するのではないでしょうか。

私たち日本人はどうしても
「強いリーダー」を求めがちです。

総理大臣や、会社の社長に対して、
強きリーダーとして引っ張っていってもらうことを
望みます。

でもそれは、西洋の価値観だと私は思うのです。

しかしながら、日本人あるいは日本という風土は、
周りに合わせていくという
文化や風土というものを持ち合わせているはずです。

ゆえに、日本の組織管理はトップダウンではなく
ビジョンを共有してゆくことで
ひとりひとりがリーダーの指示を待つのではなく
それぞれの音色を出すことで
最強の組織が構築できるのではないでしょうか?

会社内部にビジョンを共有することは
会社の成長、ひいては会社に属する人の成長に
直結します。

これを家庭に置き換えてもいいでしょう。

ぜひ周りとビジョンを共有していくことを
試してみてください。