突然ですが、あなたは野球の監督です。

あなたのチームは
相手ピッチャーの変化球がすごすぎて
ゲーム半ばだというのにヒット1本すら出ていません。

しかも、得点は0-1で負けています。

さて、監督のあなたは選手に向かって
どのような指示をしますか?

下記の中より選んでください。

1.相手のあのすごい変化球には絶対に手を出すな!

2.もっとじっくり球を見ていこう!

3.外角のストレートを狙っていこう!

★★正解の発表の前にちょっとしたワークをしてみましょう★★

今から1分間
絶対に「金魚」のことは考えないでください。

金魚という言葉だけでなく
金魚の姿形をイメージしてもいけません。

さぁ、このメルマガから一度目を離して
トライしてみてください。

…(よーい、スタート)…
…(10秒)…
…(20秒)…
…(30秒)…

………(1分、終了!)

どうでしたか?うまくできましたか?

このワークをやってもらうと
大半の人が「思ったよりも難しい」とか
「先生が金魚、金魚と連呼するので、金魚が頭から離れない」
と言います。

でも、中には
「心を無にするのは難しいので
 私は1分間犬のことを考え続けていた。
 犬のことをずっと考えていれば、金魚は出てこないでしょう」
なんて、面白い考え方をする人もいます。

実はこの考え方
ものすごい力を秘めているんです。

今日のテーマでもある

「言葉」と「イメージ」

この二つは相反するものだと思われがちです。

左脳は「言語」
右脳は「イメージ」
を司ると言われたりもするので
我々はこの二つを
どうしても切り離して考えがちです。

ですが、先ほどの金魚の例を見てもわかりますが
人間は言葉とイメージを切り離すことはできないんです。

つまり、言葉を聞いてしまうと
本能的にイメージを働かせてしまうんですね。

◆◆再び、あなたは野球の監督です!◆◆

さぁ、イメージと言葉の関係について理解したあなた。
選手にどのような指示を出しますか?

1.相手のあのすごい変化球には絶対に手を出すな!
2.もっとじっくり球を見ていこう!
3.外角のストレートを狙っていこう!

ここで、正解を教えると
3番が正解です(2番については後述します)。

でも、多くの監督は1番の指示を出します。

だって、ヒットが出ない理由は
相手のすごい変化球に手を出してしまっているためなのですから。

「原因を追求して、それを取り除く」
これは一見すると当り前の行為です。

しかしながら、この場合で言うと
監督は選手に対して
してほしくないこと(=変化球を打たないでほしい)を
伝えているのですが、

選手は否定語とは言え
監督がしてほしくないこと(=変化球に手を出すこと)を
イメージしてしまいます。

少し難しい話になってしまいましたが大丈夫でしょうか?

監督は金魚をイメージしてほしくないのに
選手は金魚をイメージするなと
言われれば言われるほど
金魚にとらわれてしまうんですね。

結果
監督は変化球に手を出すなと指示したつもりなのに
かえって選手に変化球を意識させるという
矛盾を生んでしまうんです

(監督の意図とは正反対の情報が伝わる)。

そこで、私からの提案ですが
たとえしてほしくないことであっても
言葉が宙に舞ったその瞬間から
伝えた相手がそれをイメージをしてしまうなら
「してほしくない」ことではなく
「してほしいこと」を伝えればいいんです。

つまり、肯定的な処理をさせてみてはいかがでしょう。

さらに、それが
『より単純かつ具体的』であればより効果を発揮します。

つまり、
「変化球には手を出すな!」

「変化球以外の球に手をだせ!」

「ストレートを狙っていこう」(単純化)

「外角のストレートを狙っていこう」(具体化)

これです。

よく、母親が子供に向かって
「走っちゃダメよ!」と言いますが
「ここでは右側を歩こうね♪」という方が効果的です。

子供は大人よりもイメージ力が強いですから
走っちゃダメと言われると
どうしても「走る」ことをイメージしてしまいます。

ですので、これを応用した上司は
「サボるな!」ではなく
「今からリストにある企業に営業の電話をかけてもらえるかな」
と言った方が効果が上がるはずです。

先ほどの2番の「もっとじっくり球を見ていこう!」は
単純化されており悪くないのですが
『具体性』に欠けるため今回は不正解としました。

私は、この考え方をアメリカで学んだのですが
アメリカ人よりも日本人の方が
このやり方が功を奏すのではないかと考えています。

なぜならば、日本語は否定の部分が最後に来ます。

たとえば、「面白く……”ない”」とか
「美しく……”ない”」「手をだす……”な”」etc

最後まで聞かないと
「面白いのか」「美しいのか」「手を出してよいのか」
判断がつきません。

結果、どうしても言葉によるイメージが先行してしまうのです。

これに対して、英語などはYoudon’t…という構文をとるので
これから先の話が否定語なのか肯定語なのかがすぐにわかります。

ゆえに
もしかしたら日本人は言葉によるイメージに
縛られやすい民族と言えるのかもしれません。

本日の溝口流交渉術の極意は

「日本人よ、してほしいことを相手に伝えよう!
 そして、今自分の出来ることに集中してみよう!」

です。