儒学の祖、孔子や
孔子の高弟たちの残した
教え・思想・拓学を、その後の弟子たちが
『孟子』『大学』『中康』『論語』
という書物にまとめました。

これを【儒教における四書】などと言い、
その基本となるものを示しています。

さて、昨今の日本人の在り方などを問う
書物では、

・人とはどうあるべきか?
・人の手本となるべき人の在り方は?
・指導者の在り方は?

などを説いており、売れに売れています。

なぜ、このような書物が
必要とされるのでしょうか?

人はみな、聖人ではないので、
ごく自然に生きている中で、
間違いがないとは言えません。

つまり、徳行などと言える
模範的な在り方は、【学ぶしかない】
と言っているのです。

その意味では、『論語』などは
応神天皇の代に日本に伝わってきて、
その後の律令時代の官吏(公務員)の
必読書となっていたものですので、
昨今の政治家は必読すべきものなのです。

さて、内容は思想の啓蒙や自己制御に
主眼を置いています。

例えば・・・

「人が生きていくには
 【仁(思いやり)】を忘れてはならないが
 この【仁】を基本にして
 【克】【伐】【怨】【欲】を抑え
 己に克ちて礼に復える」

という一文があります。

【克(こく)】とは、
他人を打ち砕き、打倒して、
自分ばかりが目立とうと出ていくことを
好む傾向を戒めなさい!ということです。

そんなことをすると、他人から妬まれ、
あることないこと中傷され、
出る杭は打たれるぞ!と言っているのです。

【伐(ばつ)】とは、
「オレがオレが」という自己中心的な在り方や、
何でも自分が中心にならないと
気が済まない性格を戒めています。

一般的な社会でも、
「この会社はオレがいないと
 やっていけない!」
などと主張する人がいますが、
もし本当にそうであるならば、逆に
「能ある鷹は爪を隠す」ものなのです。

【怨(えん)】とは、
人を恨んだり、妬んだりしてはいけない!
ということです。

「自分が出世できないのは、
 あいつが妨害しているのだ!」とか

「きっとあいつが自分を
 おとしめているんだ!」

などと愚痴っている人がいます。

しかし、人がどうであろうが
黙々と自分を貫いている人が、
結局のところ周囲に認められるのです。

【欲(よく)】とは、
私欲・貪欲はいけない!ということです。

社会・会社・国家全体が、
幸せになるための
正義ある欲は良いですが、
私利私欲に取りつかれ、
自分だけが!!自分のみに!!
という、利益をむさぼる欲はいけない!
と言っているのです。

このように、【仁(思いやり)】の支柱が
しっかりしていれば、
自ずと【克・伐・怨・欲】など
起きないはずですが、
昨今はこんな簡単な人の道も
守れない人が世にあふれているのです(涙)